【書評】『暗号解読 上』サイモン・シン

総評

★★★★★

暗号解読(上) (新潮文庫)

暗号解読(上) (新潮文庫)

人類の歴史において、メッセージを隠したいという欲望と隠されたメッセージを解読したいという欲望がぶつかりながら、
暗号技術の発達を紐解いた本。
単なる技術の紹介ではなく、暗号作成者と暗号解読者のせめぎあい、エピソードによって読み物としてもかなり面白く読むことができる。

感想など

  • 第一次世界大戦から第二次世界大戦中のドイツ軍と連合軍との間の暗号解読のせめぎあいは胸熱エピソード。
  • ドイツ軍のエニグマを解読した、情報科学の第一人者であるチューリングは、同性愛者という理由で精神病院に追いやられ、
    うつ病で自殺してしまった。あんな優秀な人材を愚かな社会制度によって失ってしまうという板ではかなり大きい。
  • エニグマの機構は結構複雑なのだが、簡単な換字式暗号から順番に説明されていて、前提知識がなくてもわかるように説明されているその説明の能力がすばらしい。

次に読む本

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

下巻も面白そう。

暗号技術入門 第3版

こちらも暗号技術を分かりやすく解説した本。 こちらは物語というより、技術や数学の解説に寄っている。
ソフトウェアエンジニアだったら必須な暗号や認証系の知識をこちらも分かりやすく解説してくれている。